英語でPost Modernを直訳すると、「近代の後」。18~19世紀は、それ以前に比べて科学が飛躍的に進歩した時代として「近代」と呼ばれています。機械化、医学の進歩、コンピュータの進歩などによって生活が一気に豊かになり、この科学的発想を基本につき進むことが、人類の理想であるとする考えが「近代主義」です。しかし、20世紀に入って、人類はこの考え方の限界につきあたることになります。科学や機会化が人間に及びす弊害、没個性化や争い(戦争)、公害…近代主義が万能ではないことに気づいたときに生まれた概念、それを総称して「ポストモダン」と呼んでいます。
■「個人主義」としてのポストモダニズム
20世紀中盤まで主流だった「マルクス主義」によって、「真理のために社会を変革する」という思想が盛り上がり、多くの労力が社会全体のシステムの変革や制度の変革に費やされました。その効果によって貧富の差、労働問題、公害問題などが一定の解決を見るようになりますが、近代主義の中で勝ち取った「豊かさ」の中で、システムや社会が変わっても解決できない「個人」の問題が浮き彫りにされるようになります。「真理」「道徳」「社会システム」といった、歴史的価値観や共同体の枠組みに価値を見いだすのでなく、個人に内在する問題(恋愛、家族、個人の価値観、死生観など)に目を向け、横並び、不必要な競争から抜け出すことで、より自由で快楽的に生を謳歌しようという試み、それが「ポストモダニズム」なのです。この考え方は、1980年代以降、思想界のみならず建築、文学、デザイン、音楽などさまざまな分野に取り入れられるようになっていきます。余談ですが「ゆとり教育」なんていう、今問題になっている「個性尊重教育」も、この流れをくんでいると言えるのかもしれません。それはそれで、また新たな課題を引き起こしているわけで、実は「ポスト・ポスト・モダン」とも言える、次の段階の思想が、すでに求められている時代と言えそうです。